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隠れ名盤紹介 その13

Bud Powell 「In Copenhagen」

 録音は1962年の4月26日とのこと。つまり、往年の驚異的な天才性は鳴りを潜め、

浮き沈みの激しい不安定な時期のバドということです。この頃に「好調」とされるバドの演奏は、

フレーズの八分音符が安定し、フレージングも良くて、(速い曲でも)指がもつれることもなく、

次から次へとアドリブが湧きだしてきます。

 人によってはそれを「往年の強い緊張感を強いる演奏より、余程聞きやすいし親しみやすい」と言い、

また他の人は「往年の歴史的名演奏とは比べるべくもない」と言うわけです。

私個人としては、ジャズジャイアントの様な演奏も好きですし、

本作品で聞かれる様な「晩年の好調な演奏」も好きです。

 

 ただし、50年代中盤頃の、下手に指だけ動く割に、やたらと調子はずれで尻切れなフレーズを弾いている

「バドパウエルの芸術」の後半戦や「ブルース・イン・クローゼット」のようなバドは苦手です。

あと、ちなみに、本作品と近い時期の名盤とされる「Bud Powell in Paris」も

いまいちピンと来ません。この辺は個人の好みでしょう。

 話を戻すと、本作品はゴールデンサークルシリーズと演奏やそのクオリティが似ていますが、

1曲1曲のアドリブが比較的コンパクトにまとまり、様々な曲を演奏している上、

録音も割と良好です。バドの果てしないソロを延々聴きたいのでなければ、

むしろこちらの方が総合的には聴きやすいようにも思います。

 若き日のペデルセンの演奏も(聞こえにくいとはいえ)聞けるのも貴重かと。

ということで、この時期の有名どころはエッセンジャズフェスティバル、

セロニアス・モンクの肖像あたりですが、これらが好きな人ならば気に入る可能性が高い作品でしょう。

ちなみに、ローザンヌ、ジュネーヴのライブも(録音の悪さはありますが)本作品と似た演奏です。

※異名の同録音作品(「Bouncing with Bud」)もあるようなので重複はご注意を。

 

 

1 Rifftide

2 Bouncing with Bud

3 Move

4 The Best Thing for You

5 Straight, No Chaser

6 I Remember Clifford

7 Hot House

8 52nd Street Theme

 

 

Bud Powell (p)

Niels Orsted Pedersen (b)

William Schiopffe (ds)

Michel Camilo 「mano a mano」

 あまりのバカテクと個性で、何かと異端、邪道のような扱いを受けている説明不要のミシェル・カミロ。

最近はすっかりミュージックチャージも高くなり、なかなかライブに行く機会が減ってしまいましたが、

私は大好きですよ。

 

 さて、この作品は、ドラムがパーカッションになったピアノトリオということで、

ラテンの雰囲気が強く出ており、それがカミロらしさを強く感じさせるものとなっています。

また、ドラムで思いっきり盛り上げるタイプの演奏でないこともあり、

全体的に、(あくまで、カミロにしては)抑制されています。

 

 有名曲の2や7ではパーカッションの存在感でオリジナリティが出ていますし、

作品としては盛り上がる曲と落ち着く曲をバランス良く配置しています。

特に、 5や7などのバラードを聴くと、カミロは音数やバカテクだけの人でないことが改めて感じられます。

1 Yes

2 The Sidewinder

3 Then and Now

4 Mano A Mano

5 You and Me

6 Rice and Beans

7 Naima

8 No Left Turn

9 Alfonsina y El Mar

10 Rumba Pa' Ti

11 About You

 

Michel Camilo – Piano

Charles Flores – Bass

Giovanni Hidalgo – Latin Percussion

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