これまで参加してきたジャズセッションを振り返ってその特徴や違いを解説します
- 2024年4月21日
- 読了時間: 10分
更新日:2024年6月22日
一言にジャズセッションと言っても、実は店によって特徴が結構異なり、もちろん参加する回によって同じ店でも状況が変わったりします。この記事では、その違いや特徴を様々な観点から解説しております。あなたがよく参加するセッションがどれに近いのかを考えてみたり、参加したことが無いタイプのセッションハウスを探し求める際の参考になれば幸いです。

首都圏、特に東京には数多くのセッションハウスがあり、平日休日、全くセッションが開催されていない日はないのではないでしょうか。(近年はコロナ禍があり、その影響の詳細なところまでは把握できていませんが。)
セッションはジャズ愛好家の貴重な交流の場であり、楽器の上達にも重要な役割を果たすことは、周知の通りだと思います。私もこれまでそれなりに色々な所に足を運びましたが、どういった特徴の違いがあったのか、ピアニスト目線で紹介します。
当然この内容は、その良否や、正しいか間違っているか、といったことを主張するためのものではありません。それぞれの良さや、上達効果がありますので、これからセッションに参加を検討している方の参考になれば幸いです。
また内容によっては、「あそこのこと言っているのかな?」ということもあるかもしれませんが、それは各自のご想像、ご判断にお任せいたしますね。
それでは見てきましょう。
・参加者、特にピアノの人数
きれいごと抜きで、正直ここは外せないです。まず、ピアノの参加者が多ければどうしても楽器に触れる時間は短くなります。3000円の参加費を払って2時間とか3時間のセッションで2回とかしか弾けていない傍らで、管楽器の人数が少ないのになぜかあまりトリオとかでやらせてくれず、管楽器はたくさん演奏できている場合もあります。
そういう時は最大限ポジティブに、他のピアニストで上手い人がいないか、コールされている曲で自分があまり知らない曲は無いかどうか。といったことに注意して、なるべく時間を有効活用して気を紛らわせましょう。
他に、ピアノに限らず演奏待ちしている人に話しかけて、情報交換や交友を深めるという選択も、場の雰囲気によっては可能かもしれません。ただし、その人がセッションの演奏をじっくり聞いていないかどうか、は確認するほうが無難です。
ポジティブにその場を楽しむように心がけても、毎回ピアノが多くてさすがにきついとか、満足度が下がってきたという場合、普段あまり参加しない所に行ってみると、新しい発見があるかもしれません。
逆に、ここの店は比較的いつもピアノが少ない、滅多に自分以外の参加者がいるのを見たことがない。という店もあります。ピアノが少ない場合は自分がたくさん演奏できるチャンスではありますが、それはそれでさすがに集中力が切れて疲れてしまうこともあります。
また、そもそも管楽器も含めて人数が少なく、トリオばかりやっていると、レパートリーが枯渇してくる問題も発生します。そういった場合は無理せずにホストさんに相談しましょう。とはいえ、基本的にピアニストが少ない場合は、多いよりはラッキーだと思います。聞いて学ぶという部分も大切ではありますが、やはり弾けるならばなるべく弾きたいですよね。
・ピアノ参加者に選曲、曲コールの機会があるかどうか
これは例えばピアニストの参加人数が少なく、演奏の順番が頻繁に回ってきたとしても、
ずっとフロントのコールした曲のバッキングをやり続けて、慣れない曲で欲求不満で不完全燃焼気味なソロばかり弾いていないか、といった所に店の人やホストがアンテナ張っているかどうか。と言えるかもしれません。
1曲くらいは自分の好きな曲をやりたいのでは?という視点が少しでもあるのか、恐らくほとんどないのか。というのは何となく感じ取ることができます。とはいえ、個人的には、実はそうやって強制的に色々な曲をやるほうが、自分の選曲でトリオをやっていいよ、と言われるよりも良い練習になるので、それはそれで好きだったりします。
ちなみにフロントがいる編成でピアニストの希望をコールする機会があるときは、フロントがその曲をできないと成立しませんので、そういう時のフロントは原則ホストプレイヤーである気がします。
この辺りは、ジャズピアノのジレンマの後半で書いた、ピアニストの役割に通じるところはあるのですが、やはりフロントやボーカルの人にとって、ピアニストの役割はまずバッキング、伴奏という考え方があることは否定できない状況です。
確かに、名ピアニストは皆バッキングが上手く、トミー・フラナガンの様に、名盤請負人のように呼ばれることもあるでしょう。しかしそのトミフラのGiant Stepsの演奏の残念この上ないこと。歴史に刻まれてしまったあそこまでではないにしろ、セッションでフロントのコールした慣れない曲で、なるべくならばあんな思いはしたくないですよね。
あの状況について、「コルトレーンは自分だけ猛練習して、ほとんど抜き打ちでレコーディングに臨んだ」という説の真偽は定かではありませんが、ピアニストとしては、トミフラのあの様子は正直あまり気持ちいいものではないですね。
歴史に残るような厳しい世界でのジャズピアニストならともかく、趣味でやっているジャズピアノ愛好家で、自分のアドリブより人のバッキングこそが自分の仕事ややりたいことだと張り切れる人がどのくらいいるのか、個人的には興味があります。もし自分はそうだ。という方いらっしゃいましたら後学のために教えて頂ければ幸いです。
一応、誤解なきよう補足すると、私はトミフラのピアニストとして職人魂に脱帽しております。後に、トリオで同曲を録音して出すあたりも素敵ですね。
最後に余談ですが、そこまで考えたとき、ベーシストはウォーキングベースとソロにどういったモチベーションを感じているのか気になりますね。意外と、ソロが好きな人が多数派なのだとすると、管楽器の人から見たピアノのバッキングは、私たちにとってのベースのウォーキングと同じなのかもしれません。まあさすがに楽器の特性や、ピアノトリオがある以上、そこまで極端ではないと思っていますが。
・ホストの演奏参加度合い
この記事でも既に何度か登場していますが、改めて確認しておくと、ホストというのは、そのセッションにおいて、参加者の演奏をサポートする演奏家の皆様です。大抵、セッションのオープニングは、このホストメンバーが演奏をしてから、セッションが開始されます。
そのホストですが、セッションによって結構演奏への参加度合い、参加者へのサポート度合いが異なります。これは、そのホストの楽器と同じ楽器の参加者がいるかいないかに関係ありません。
例えば、ピアニストの参加者がいた場合、もうほとんど自分は弾かなくなるホストピアニストの人もいれば、たまに弾く人もいます。あるいはボーカル伴奏の時はほとんど必ずホストが弾く場合もあれば、参加者に弾いてもらうように促す人もいます。その辺の匙加減は、選曲や演奏する参加者のレベルを見て、ホストさんが上手く調整しているのだと思います。
ただ、それでもやはり何となくの傾向というのはあるように思います。特に歌伴奏の際は顕著で、ボーカルセッションでもないのに、ミディアムテンポのごく普通のスタンダードですら参加者にはまず弾かせないタイプと、積極的に挑戦させるタイプは分かりやすい違いだと思います。
他には、ホストのフロントもタイプがあります。例えば、トリオでやりたいのか確認してくれるタイプかどうか。基本的にトリオでやらせる気はなさそうなタイプか。あと、後者の場合も更に、比較的自分のソロは控えめにして、早めに参加者に回すタイプと、自分のライブ並みに思いっきりソロを取るタイプにも分かれます。こちらの長くソロを取るタイプは、意見や考え方が分かれそうですが、個人的には正直ちょっとやめてほしいです。
その人のファンなら聞いていて楽しいとかあるかもしれませんが、基本的に、参加者の演奏時間が減ってしまいます。要するに曲の演奏時間が長くなり、演奏サイクルが鈍るので、影響はその曲の演奏者だけにとどまりません。
上記にも書きましたが、やはりセッション参加者はソロを取りたかったり、自分が演奏したいわけです。参加費を払って演奏しに来たセッション参加者の時間をホストが使っちゃっているように思うのです。参加者が初心者ばかりで、ホストの手助けがないと演奏が相当怪しい場合ならば仕方ないと思いますが、そこまでの状況でなければ参加者に時間を使わせてほしいですね。このあたりは皆さんどのように感じられますか?
愚痴っぽい内容が続いて恐縮ですが、ついでに書いておくと、選曲させてくれたけど、勝手に自分がカウント始めて、演奏始めてしまったホストもいました。その曲は、当時の私からすると、少々背伸びした難易度の曲であったのは認めます。
それと同時に、演奏テンポを割と幅広く解釈できる曲でした。ですので、少し遅めのテンポでしっかり弾きたかったのです。あと、そもそも私自身の感性として、概してテンポ140~160程度のミディアムテンポと、それが似合う曲が好きなのです。
しかしそのホストが出したテンポはその曲の演奏テンポでも上限に近い位でしたので、正直私は「マジかよ?!」と思いました。しかし演奏が始まってしまいどうすることもできませんでした。あれは結構きつかったですね。そのホストの真意は分かりませんが、実力の割にコールした曲が気に入らなかったのでしょうか?上級者求むというセッションではなかったですけれど。
当時、弱い者いじめと受け取りました。こういうホストもいるにはいます。だからこそ今でもこうして根に持って「そんなこともあったな」とふと思い出します笑。まあセッションに行っていれば、こういうこともたまには経験しますし、そうやって成長していくわけです。
あとはおまけです。
・禁煙(私の嗜好として、タバコの煙は非常に苦手という前提を共有しておきます。)
お店によって、結構この扱いが異なります。ご時世的に一昔前に比べると、かなり屋内のタバコには厳しくなってきているとは思います。店によっては、禁煙を徹底しているところもあります。それでも、少なくともコロナ前までの時点では、まだまだ禁煙でないお店は残っています。
一応分煙みたいになっていたり、暗黙の了解でなんとなくタバコを吸うエリアが決まっている。といった雰囲気がある場合もありますが、ドアの閉まった密閉空間においては、すぐ隣で吸われるよりはマシ。という位の効果しかないです。苦手な人は気を付けましょう。
逆に、タバコを吸いたい人にとっては、吸えるところが減ってきている中で、そういったお店が救いになるかもしれません。
・選曲
セッションでは、いわゆるセッションでよくやる曲、ステラ、酒バラ、アナザーユー、グレーターラブといった曲の以外の少し凝った曲をやることもあります。店によって、この少し凝った曲の出現頻度に違いがあります。店の常連参加者の曲の好みもあるでしょう。
あるいは、初心者参加可能で参加者のレベル感が分からないのに、いきなりMoment’s Noticeを平気でコールする人もいます。このように、普段あまり顔を出さないところに行くと、意外な曲をやる機会に出会えるかもしれません。
まとめますと、
一言にセッションと言っても、場所や参加する回によって、ピアノの立ち位置、セッションホストの特徴に違いがあります。様々なセッションに参加することで、新たな気づきが生まれることもあるでしょう。セッションの参加は、初心者の内は緊張したり、自信が無くて消極的になることも多いと思います。是非、当サイトのコンテンツを有効活用して頂き、セッションを楽しんで頂ければ幸いです。
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