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なぜ大人になってからジャズを始めると大変か?~ジャズサークル出身者と比べた時に見えてくる4つの要因~

  • 2024年5月3日
  • 読了時間: 10分

更新日:2024年12月1日


 今回は、なぜ大人になってからジャズピアノを始めると、挫折しやすいのかについて、4つのポイントを解説します。


ピアノを弾く人

 ジャズピアノは練習成果や自身の成長を感じにくく、上達のためにコツコツと長く続けることが重要です。大人から始めた場合、大学のサークルなどでジャズやっていた人が実は知らず知らずのうちに享受していたメリットを受けにくく、上達のハードルが上がって挫折しやすくなります。


 それを知ることで、従来考えていた以上に長い目で焦らずにジャズピアノと向き合うことの重要さに気づくことができると思います。

 

 また、もしこれを大学生のジャズ研の方などが読まれていた場合には、そのメリットを理解しつつも、卒業後も長くジャズを楽しむことで、現役時代から考えられないほど上手くなる可能性があることを知って頂ければと思います。それにより、今よりも更に楽しくサークル活動等に打ち込んでもらえれば嬉しいです。


それでは早速、1つ目から始めます。


その1:気楽に教えてもらえる先輩を見つけにくい

 大人になってジャズを始める場合、上達のための主な選択肢はレッスンか、セッション等で知り合った人にアドバイスを求めるということになるかと思います。レッスンは、グループレッスン、個人レッスン、セッションハウスのスポットレッスンなど色々な形式があり、これらはプロがしっかり教えてくれるメリットは大きいですが、レッスン料が発生します。


 この後に述べる通り、意外とこの金銭的な負担が大きく、レッスン効果や自身の上達速度に対して出費が過大と感じ、続かなくなる可能性が高いです。


 一方でジャズ研所属の大学生の場合、部室で先輩に気軽に質問ができます。その先輩たちもプロからすれば素人ではありますが、それでも入部1年目の入門者よりは多くのことを知り、アンサンブル経験もあり、音源も聞いています。


 あるいは運がいい場合は、プロを目指す凄腕プレーヤーや、学生バンド業界では名前が通った先輩がいることも、あるかもしれません。初心者にとっては、60分で5000円かけて隔週や週1回程度プロに指導を仰ぐよりも、毎日、無料で、何時間でもジャズに触れられる部室の方が、練習が継続しやすいです。


 仮にそこで先輩に多少変なことを教えられても、後にそれが変だと気付いた時は、それに気付けるほど、自分が成長したというわけです。後から修正できます。


 誤解して頂きたくないのは、私はプロのレッスンに否定的なわけではありません。できることなら最初からプロに習った方が良いと思っています。しかし、プロからの情報は質も量も豊富で、(よほど金銭的に余裕がある場合を除き)レッスン料に見合う上達をするためには、レッスンとレッスンの間に相当の練習量が求められます。


 これは家事、育児、仕事の合間に何とか練習時間を捻出するアマチュアピアノ愛好家にとって、決して容易に継続できることではないと思います。人はかけた労力に対して成果が見合わないとなると、気持ちが続きません。


 これはやる気があるならちゃんと続けられる、というような精神論だけの問題でなく、日常生活や金銭的な負担も含めた現実的な問題も含まれます。


 ただし、繰り返しになりますが、レッスンが続けられるのであれば、プロに習うのが近道であることは否定しません。むしろ、そうするべきだと思います。


その2:セッションをする機会が少ない

 あなたはこんな経験をしたことはありませんか?

 今日は時間に余裕があるので仕事帰りに勇気をもってセッションに行ったら、ピアニストばかりで3時間のうちに2回しかピアノを弾けなかった。


 しかも初心者と伝えていたにも関わらず、慣れない曲をコールされ、イントロは弾けないと言うと、ドラマーが淡々とカウントを始める。フロントは自分の得意な曲なのか、気持ちよさそうにアドリブを吹きまくっているが、こっちはロストしないように食らいつくのが精いっぱい。


 今度はいよいよピアノのアドリブが回ってくる。家で必死に練習してきたフレーズは全く弾けず、終わった後に録音を聞き返す気にもならず、自信を無くして帰宅の途へ・・・


 大学生でジャズに熱中すると、朝から晩まで(時には授業の単位と引き換えに?)部室でセッションに明け暮れる人もいます。そこまでいかないとしても、週に何日もサークル活動に顔を出して、セッションや曲の練習をします。


 ひと月に一回、たまにセッションに参加して、冒頭の様な思いをするのとは対照的です。ジャズは、ピアノソロなどの特殊な形体(それはそれで別の意味でいばらの道ですが)を除き、やはりどこまで行っても、他者とのアンサンブルが上達に欠かせません。


 セッションのデビューや初期の頃は、失敗や悔しい思い、穴があったら逃げ込みたい思いをするのはよくあることですが、ジャズ研経験者はこの段階を部室であっという間に乗り越えていきます。また、大学でジャズを始める人も多く、周りも初心者が多いため、共に成長していく感覚があるため、自己の演奏に対して必要以上に劣等感を感じることも少なくなります。


 個人的に、大人からジャズに興味を持った人の上達を阻む最大の壁の一つは、このアンサンブルの機会確保問題だと思っています。(他はジャズ理論のややこしさ、耳コピのハードルです)逆に言えば、セッションで知り合った仲間同士などで既にそういったコミュニティを獲得している人は、大きなアドバンテージがあると言えます。


 しかし最近では、伴奏アプリ(i Real Rpo)やYouTubeなどでかなり擬似的なアンサンブル練習が可能になりました。生身の人間とのリアルタイムのやりとりと比べると物足りないものがあるとはいえ、上手く活用すればかなり上達に役立てることができるでしょう。


その3:本番経験が少ない

 本番経験を積む(お客さんの前で演奏する)機会というのは練習とは異なる緊張感や責任感を伴い、上達する上ではひとつの重要な道程となります。本番に向けて否が応でも練習する過程で上手くなりますし、人前での演奏は一種の楽しさがあるので、それが練習継続のモチベーションにつながる場合が多いです。


 ジャズで本番の機会を作りたい場合は主にライブハウスなどを借りてライブを企画する、ジャズフェスにエントリーする。といった方法があります。(あと他にはレッスンの発表会があるかもしれません。)


 さて、前者はお店と日時の交渉をして、お客さんを集めるなどの準備が必要ですし、後者は録音や映像を送ってエントリーし、場合によっては選考や抽選を潜り抜けて出演する必要があります。百戦錬磨のジャズ経験者ならまだしも、初心者がそう頻繁にできることではありません。つまり、聴衆に聴いてもらうという機会を作ることが、比較的難しいです。


 一方、ジャズサークルはというと、定期的に他大学との合同演奏会があったり、地域のイベントに演奏出演させてもらったり、他大も含めた学園祭の出演があったりと、年間を通して比較的安定して人前での演奏機会が設定されていることが多いです。これにより本番経験が培われます。


 そもそも、大人から始めた場合は、定期的にセッションに通って何度も顔を合わせて仲良くなった人がいないと、なかなかバンド自体を組むのが難しいです。更に、最初は定期的にセッションに通うこと自体がハードルになっている場合も多いのでメンバー集めが一苦労です。

 

 それに対して、サークル経験者は卒業後も大学時代の人脈を使ってバンドのメンバーを集めやすく、ライブも企画しやすいです。


 また、ジャズピアノのジレンマで説明した通り、一般的なピアノの特徴であるソロピアノは、ジャズにおいては比較的特殊な編成で、演奏が難しいため、初心者のうちは、なかなか一人で気軽に人前に立つことも、精神的なハードルがあります。



その4:ジャズを聴いている期間が長い

 最近は音楽のストリーミング配信やYouTube、ダウンロード配信も発達し、かなり手軽に色々な音楽を聴くことができるようになりました。同時にアナログ盤の復権も話題になっています。


 そんな人生100年時代、先んじてたった数年間ほど長く聞いていたからといって、それがそこまで影響することはあるのでしょうか?私はあり得ると思っています。


 音楽をそれほど真剣に聴く趣味がなかったとしても、学生時代や二十歳前後の数年の間に聴いていた音楽というのは、同じ数年間でも、大人になってからのそれとは人生に占めるウェイトが違います。まして、音楽好きの人にとってはなおさらのことです。


 これは私の主観ですが、かなりの人が賛同して下さるのではないでしょうか。


 多感な時期にさんざん聴いた音源や演奏した曲たちというのは、その後の人生でも何か特別な思いや愛着を持ち、生涯のレパートリーの様に大切にする可能性が高くなります。


 実際に私にもそういった曲はあります。(もちろんジャズ以外の曲でも。)

サークル入部当初はジャズのジの字も知らず、何となくサークルに参加するばかりでジャズの面白さに気づくまでに1年かかった自分ですら、そうなりました。

 

 ジャズにおいてこの「生涯のレパートリー」を持てるかどうかというのは、大きなモチベーションの違いになるのではないかと考えています。


 昔の演奏録音が出てきて自分の成長を感じられたり、その曲を弾くことで当時のこと思い出して楽しい気分になったり。昔よく聴いたCDを久しぶりに聴いた時に、以前は気づかなかったことに気づいて新たな魅力を発見するかもしれません。


 知らなかった名曲を見つけて新しく練習することも楽しく貴重な経験ですが、最近新しく覚えた曲と、寝ていても弾けるほど刷り込まれたレパートリーを比較した場合、後者には何物にも代えがたい一体感を感じるのです。


以上4つをまとめますと、

・気楽に教えてもらえる先輩を見つけにくく、継続的な練習や上達が難しい

・セッションをする機会が少なく、せっかく参加したセッションでも思うようにいかない

・本番経験が少ないため、モチベーション維持が難しい

・ジャズを聴いている期間が長いため、相対的にジャズそのものに愛着を感じにくい

ということです。


 大人からジャズを始めようと思った場合、学生時代からジャズをやっている人が上記のようなデメリットを受けていないことを理解し、焦らずに練習を積み上げていくことが重要になると思います。


 しかしそうは言っても、サークルで3年やそこら経験をした位のレベルでは、かなりセンスがある人が相当な努力をした場合でもない限り、ほとんどの人がまだまだ圧倒的に発展途上です。


  そして、卒業後、残念ながら色々な事情で楽器を続けられない人も多いですが、逆に細々でも続けた人ほど、学生時代から想像できないほど成長しますし、自分で言うのも気が引けますが私自身もそのパターンです。(というより私は現役時代が下手過ぎましたので。)


 大人から始めた人は、ジャズというのは、そのくらい演奏が「演奏」になるまでに時間がかかることを知っておいた方が良いでしょう。焦らないことが大切です。めげずに練習を続ければ、10年、15年のスパンで見れば、その先の人生を豊かにしてくれる宝物を手に入れられるのです。


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